
北海道八十八ヶ所霊場は、北の大地・北海道の全域にまたがる巡拝霊場です。その行程はおよそ3,000キロメートルに及び、真言宗各派の寺院が札所として皆さまをお迎えしております。
北海道の気候に鑑み、巡拝期間は毎年5月1日から10月31日までと定めており、冬期間は閉場しております。
北の大地に広がる祈りの道を、ぜひお巡りください。皆さまの巡拝を心よりお待ち申し上げます。

開創への歩み
明治以来、昭和に入ってもなお北海道の道路事情は険しく、各寺院においても自坊の基盤を築くことに精一杯の時代が続きました。しかしその中にあっても、四国八十八ヶ所や西国三十三所への巡拝を願う人々の想いは強く、とりわけ故郷を四国や西国に持つ人々にとって、その思いはひとしおであったことでしょう。
一人ひとりの小さな願いは、やがて大きな願いへと結ばれ、道内の寺院の境内や近隣の山野には次々と小霊場が開かれていきました。
北海道全域にわたる霊場の構想は古くからありましたが、さまざまな事情が重なり、長く実現には至りませんでした。
その後、自動車や通信手段の発達により、それまで交流の機会が少なかった真言宗各派の僧侶や檀信徒が宗派の垣根を越えて交流と研鑽を重ねるようになりました。この繋がりが、霊場開創という大事業を成し遂げる大きな力となったのです。
十余年にわたり、上川町・大聖寺前住職 伊藤晃全師を中心に志を同じくする人々が集い、調査と研究を重ねました。その熱意は一人からまた一人へと受け継がれ、ついに北海道八十八ヶ所霊場の開創へと結実したのです。
開創大法会
先徳先人が夢見た北海道全域に及ぶ八十八ヶ所霊場の開創法会は、平成18年10月15日、第1番札所・眞久寺において、法悦歓喜のうちに厳修されました。法会には、導師として高野山真言宗管長 資延敏雄猊下をお迎えするとともに、四国八十八ヶ所霊場会会長・高野山真言宗宗務総長 庄野光昭師をはじめ、多くのご来賓にご臨席を賜りました。真言宗各派から100名近い僧侶が出仕し、参拝者は1,200名を超えるなど、宗派や地域を越えて多くの方々が開創の喜びを分かち合いました。
お大師さまのお導きはもとより、諸先師が切り拓いた道と、篤信の僧侶・檀信徒の熱意によって、北海道にかつてない新たな霊場が誕生したのです。

(平成18年10月)

御本尊八十八体
霊場の八十八体の御本尊は、運慶・快慶以来の慶派の流れを受け継ぐ、京都の大仏師・松本明慶師によって謹刻されました
松本明慶氏は、「北海道に新たな文化と信仰が生まれますように」との願いを一体一体に込められました。
北海道八十八ヶ所霊場の御本尊は、大きさや彩色こそ四国の霊場と異なりますが、そのお姿は四国八十八ヶ所の御本尊を写したものです。四国では秘仏とされ、直にお姿を拝することのかなわない御本尊も少なくありません。松本明慶大仏師は長年にわたり各札所の御本尊を調べ、その一体一体のお姿を明らかにされました。それゆえ当霊場では、四国では拝しがたい御本尊のお姿をも、間近にお参りいただくことができます。
見事な御仏像の完成とともに、歓喜のうちに霊場は新たな歩みを始めたのです。

同行二人 ― むすびに
北の大地に新たな信仰の道場が生まれ、多くの巡拝者がお大師さまの慈悲に支えられ、そのお導きをいただいてまいりました。
巡拝は、お大師さまと共に歩む「同行二人」の修行です。札所を巡り、御仏の前で手を合わせるひとときが、ご自身の心と静かに向き合う機縁となることでしょう。
巡拝されるお一人おひとりの心の安らぎと、祈念祈願の成就、さらには地域社会の平和と安寧を、心より願っております。
